賃貸と持ち家はどっちがいいの?
永年のテーマのように感じられますが実際にはどっちの方が多いのでしょうか。
賃貸と持ち家のメリット・デメリットを比較しながら見ていきましょう。
賃貸と持ち家の比率
みなさんは賃貸と持ち家どちらにお住まいでしょうか?
昔は持ち家を所有してこそステータスのような価値観がありましたが、現代では薄れつつあるように思います。
では実際に賃貸と持ち家の比率を見てみましょう。
総務省が平成30年に調査した住宅・土地統計調査によると、賃貸35.6%、持ち家61.2%となっています。実はここ40年間、持ち家率には大きな変化があまりなく、60%前後で推移していることがわかります。 ※賃貸と持ち家以外は公営住宅や会社が借り上げる社宅などが含まれているため、足し合わせても100%になりません。
時代の移り変わりにより住宅に対する価値観が変化しているかと思われましたが、実際には今も昔も、持ち家に憧れている人が多いということですね。
賃貸と持ち家のメリット・デメリット
賃貸に住む場合も、持ち家に住む場合も、どちらもメリットとデメリットがあります。
ここでは、多くの人が気になるいくつかのメリットとデメリットをあげていきます。
賃貸に住むメリット
まずは多くの人が住む可能性のある賃貸に住むうえでのメリットとデメリット。
●メリット
- いつでも引っ越しできる
- 住宅のメンテナンス費用は大家持ち
- 固定資産税や不動産取得税がかからない
1.いつでも引っ越しできる
賃貸に住む場合は場所に制限されません。収入の小さい時期には安い家賃のところに住んで、ある程度余裕が出てきたらもう少しグレードを上げた家に住むなど状況に合わせた生活が可能です。
また一人暮らしを始める、同棲、結婚、子供ができた場合など、ライフスタイルに合わせて動きやすくなるのがメリットです。
2.住宅のメンテナンス費用は大家持ち
例えばエアコンや給湯器などの設備が壊れたなど、住居中に故意ではない故障やトラブルが生じた場合はすべて不動産の管理者である大家が負担することになります。
また賃貸の場合は賃料と合わせて管理費を事前に支払っているケースがほとんどであり、外壁修繕やエレベーターの修理などの、建物全体に係る修繕も管理者である大家が負担するため、追加で請求されることはありません。
3.固定資産税や不動産取得税がかからない
賃貸住宅はその名の通り、借りる家になることから不動産を取得することなく住むことになります。そのため、不動産取得税などの一時金や、毎年支払う必要のある固定資産税を負担することはありません。
また火災保険は賃貸の場合、年間1~2万円程度で済みますが、持ち家の場合は面積や構造、補償内容にもよりますが、年間5万円ほどはかかります。
賃貸に住むデメリット
- 賃料を支払い続けても自分のものにはならない
- 完全なプライベート空間ではない
- 高齢になると借りづらくなる場合もある
1.賃料を支払い続けても自分のものにはならない
賃貸の宿命ですが、賃料は住むための費用のため大家にいくら収め続けても自分のものにはなることはありません。また賃料は地価の上昇により上がることもあり、予期せぬトラブルに見舞われる可能性もあります。
2.完全なプライベート空間ではない
賃貸では必ず、自分だけが借りて使える部分と、建物内の住人すべてが使う共有部分があります。また部屋によっては隣の音が聞こえてきたり、足音が響くなど、完全なるプライベート空間とはならないことが多いです。
高齢になると借りづらくなる場合もある
自分が大家の立場である場合、どんな人に住んでもらいたいでしょうか。しっかり生活が安定していて、長く住んでもらえるなど色々思い起こすかと思いますが、恐らく高齢者の方は少し躊躇されるのではないでしょうか。
近年では独居高齢者の孤独死など、目をつむりたい暗い話題もあることは事実であり、そういった事故物件となる可能性のある場合は入居が難しくなります。
高齢者向けの住宅もありますが、一般的な賃料より高めに設定されていたりします。
持ち家に住むメリット
●メリット
- 支払が終われば家賃はかからない
- 資産となる
- 何よりも自分の家になる
1.支払いが終われば家賃はかからない
持ち家のメリットといえば、支払が完了すれば家賃がかからなくなることです。
近年は住宅ローンの金利も低く、また住宅ローン減税制度もあるため、思っていた以上に返済が楽なケースもあります。
●住宅ローン減税の概要(国土交通省)
2.資産となる
購入した不動産は資産となります。建物は当然劣化するため、経過年数にもよりますが購入時の価格よりも低い評価となります。ただし、しっかりと点検を行うことで資産価値の減少を抑えることもできます。
また木造住宅と鉄骨住宅では資産価値が異なりますので、資産としての家を持ちたい場合は鉄骨住宅がおすすめです。
建物以外にも土地の価格は変動しにくく、場所によっては大きく上昇する可能性もありますので、建てる場所は非常に大事な要素ですのでしっかりと検討しましょう。
3.何よりも自分の家になる
支払が終われば晴れて自分だけの家になるのもそうですが、自分好みに好きにリフォームやDIYなどができるのも持ち家ならではのメリットです。
庭を造ったり、テラスを設けて自分だけのスペースにしたいなど、夢を持っている方も多いのではないでしょうか。
自分だけの理想の家づくりが可能になるのは他にはない大きなメリットです。
持ち家に住むデメリット
●デメリット
- 引っ越しが容易でない
- 修繕費用がかかる
- 固定資産税や不動産取得税がかかる
1.引っ越しが容易でない
たとえ隣近所とトラブルにあったとしても、一度持ち家に住むと簡単には引っ越しできません。
万が一にも引っ越しして売り払うことになったとしても、時間も費用もかかり、疲弊してしまう場合もあります。
2.修繕費用がかかる
持ち家になれば、家に係る修繕費用は全部負担しなければなりません。
外壁や屋根回りの水漏れなど、10年単位での修繕費がかかる場合もあり、住宅ローンとは別に積み立てしていく必要があります。
3.固定資産税や不動産取得税がかかる
不動産取得税は持ち家の取得時に支払う一過性のものですが、固定資産税は毎年支払う必要があります。建物と土地の不動産評価額に応じてどちらにも税金がかかり、住宅ローンを完済しても、不動産を所有している限りは支払い続けなければなりません。
賃貸と持ち家の費用対効果
これから30年間住み続けることを前提にして、賃貸と持ち家にそれぞれ住んだ場合、どのくらいの費用になるのでしょうか。
●家賃8万円、更新料1か月分の賃貸に30年間住み続けた場合
8万円×13か月×30年間=3,120万円
3,120万あれば、地方であれば建売住宅を十分購入できる価格です。
●2,500万円の建売住宅を購入し、30年間住み続けた場合
2,500万円+固定資産税(2,500万×0.6×税率1.4%×30年間)=3,130万円
※固定資産税は土地と建物の固定資産税評価額(不動産価格の0.5~0.7と言われています)を基準に税額が決定します。また減税制度もあるため、ここではおおよその目安で簡易的に計算しています。
持ち家にかかる修繕費を足した場合でも、賃貸はこれからも家賃を払い続けることを考慮したら、十分勝負できる計算になります。
まとめ
賃貸に住んでも、持ち家に住んでも結局のところは悩みを抱え続けることになります。
費用対効果も判断材料の一つですが、一番大切なのは自分が欲しい生活(人生)スタイルはどんなイメージなのかを考えたうえで実現することです。
目先のことばかりに捕らわれずに、長期的な目線で検討することをおすすめします。
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